佐藤泰志の著作より、
映画化版が良いと書いたが。
じつは、
そのようなわけもなく。
文庫版移動動物園のあとがきに
あるように。
読んでいるのが
つらくなるほどの。
それ故に、
映像化され、
ドラマ化され、
役者さんたちの素晴らしい演技により、
薄まる?
なにが。
自分にも内包する
やりきれない、
息苦しさが。
おれは、
座右の銘を開こう
明日も
おれ、
たぶんダメだ
だれからも、
嫌われているし、
だれからも
必要とされていない、
そんな、
鉛のような
重圧に
ほとんど熟睡できない。
もちろん、
重度のアルコール使用障害。
さらに、
自助会に行く気もない。
なのに、
生きなきゃならない。
帰結、
帰結
帰結。
どんな
詩的な文学をのこしても、
死んだら。
何も残らない。
空っぽな世界すら、
かんじることすら
できない。
無だ。
永遠に
微かな夜の
啼く鳥の声、
それすら。
オレンジ色の雲が
バスルームに充満し
ガスコンロから
滑り出した細くながい
シマウマのなれの果て
くちにふくんで、
タバコもかんで
ない奥歯、
舌先でつぶせば
燻したイチゴの匂いが鼻腔に。
夜でも曇ってばかりのこのせかいて
伸ばすても夏なおかじかみ
シャツの内側にて不器用に交差す
足が
つる。
あすに流れる酷く長いかわでもよい、
境内まで走り込むおれに、
まぼろしてもかまわないから
まわり灯篭をぐるぐるぐるぐるぐるぐる
手の甲から、切れ、きれぎれに
汚れた血をながすところまで。
さあ。